旭川美術館では、毎年コレクションの多くをまとめて紹介する所蔵品展を開催しています。「道北の美術」と「木の造形作品」をテーマとするコレクションは、開館20周年をむかえた2002年の12月現在で505点を数えました。
「時と記憶の物語」と題する今回の展覧会では、それらの中から、過去の体験や記憶をもとに、それぞれの作家が自由にイメージを膨らませて制作した作品を選び出して展示しています。
例えば…
かつては人間が関わった何かであり、今はもう存在しないものの断片(廃材)で作られた時と記憶の集積のような作品。温かみのある独特の色彩や材質感が、どこか見る者の郷愁を誘う作品。幻想的な雰囲気や謎めいた題名から、作者や作品に秘められた物語について、いろいろと想像がふくらむ作品。
作家個人の心象に結びつくこれらの作品世界は、見る側の心の奥にある古い記憶を呼び起こし、言知れぬ懐かしさを感じさせる不思議な魅力があるといえるでしょう。
あることがきっかけで古い記憶がふとよみがえるように、さまざまな作品との出会いの中から、あなたも忘れかけていた懐かしい何かを思い出すかもしれません。まずは、ゆったりとした気持ちで想像力を働かせながら、作品の言葉に耳を傾けてみませんか。