戦後を代表する書家 井上有一[1916-1985]
彼の実験的な「書」は大胆な造形性を持ち、書と絵画の両領域で優れた傑作として国内外で高い評価を受けてきました。
1950年代には抽象表現主義に呼応し、ニューヨーク近代美術館での『Japanese-Colligraphy展(1954年)』、東京国立近代美術館からヨーロッパ5カ国を巡回した『日米抽象美術展』(1955-1956)に出品。当時始まって間もないサンパウロ・ビエンナーレ、ドクメンタ、カーネギー・インターナショナルなどの国際展にも次々に参加しました。評論家のハーバード・リード氏にジャクソン・ポロック等の巨匠と並べ評されたことで評価は一層高まり、没後1989年国内7美術館の巡回で回顧展が行われた他、1944年~1955年横浜美術館からグッゲンハイム美術館ソーホー、サンフランシスコ近代美術館へ巡回した『戦後日本の美術』へも出品。
近年では、2016年1月より金沢21世紀美術館にて館長である秋元雄史氏がキュレーションをつとめた、過去最大の回顧展『生誕100年記念井上有一』が開催されました。東京・京都の国立近代美術館やメトロポリタン美術館等、国内外の多くの美術館に作品が収蔵されています。