福岡・北九州両都市間の芸術文化交流事業の一環として、福岡市美術館と北九州市立美術館が協力して開催する、両市およびその周辺で近年活躍中の若い美術作家たちによる現代美術展。
文化も歴史も、その街の成り立ちも異なる、意外に離れた福・北両都市。その両都市間に美術の力で「交換/交歓」の場(=往来)を創造することが本展の大きな趣旨ですが、それは両館の間での観客の交換であり、普段は個別に活動する美術家同士の交歓であり、また同時に互いに遠い存在であると思いがちな美術家と観客との交歓の場、という意味でもあります。
2001年度に引き続き第2回目となる今回の「芸術・文化交流展」では、こうしたテーマのもとに、若い世代の美術家たちに焦点を当てます。近年の両市を中心とした現代美術の状況には少しずつ変化が見られ、特定のグループに属さない比較的若い世代の美術家たちが多く活躍しはじめています。彼・彼女らの作品は、いわゆる絵画や彫刻だけでなく、映像、インスタレーション、観客との共同プロジェクトなど多岐にわたっていますが、発表の機会も場も少ないため、一般に彼・彼女らが知られる機会は限られ、また美術家同士の交流の場もこれまであまりありませんでした。
本展は、そうした美術家たちにとっての活躍の場を提供するとともに、福岡市・北九州市の両市の交流の場であるだけでなく、美術家同士、美術家と観客、そして観客と作品との間での交歓のための「往来」(行き来の場)の役割を果たすことを目標としています。「福・北 美術往来」という展覧会名には、そのような願いが込められています。