本展は、画家・清川泰次(1919-2000)の、近年あらたに収蔵した作品を3期に分けてご紹介する「新収蔵作品を中心に」の最終期です。具象的な作風から出発した清川は、戦後間もない1950年代に渡米し、自由で新鮮な表現との出会いを経て、自身のスタイルを徐々に変化させていきました。第1期、第2期では、その変遷をご紹介しましたが、第3期では、1960年代から80年代頃までの油彩画10数点を展示します。
1963年、清川は、もう一度アメリカで制作と発表の機会を得ようと再び渡米しました。サンフランシスコとニューヨークで精力的に個展を開催し、グループ展にも参加しました。この頃から清川は、白く塗ったカンヴァスに、黒やグレーで線を引いた作品を多く描くようになります。1966年に帰国後も白を基調としたスタイルでの制作を続け、1973年には「白の世界」と題した個展を開催しました。後に「白の中には無限の色がある」と語っている清川にとって、白色は重要な色彩のひとつとなり、その後の仕事に大きく影響を与えることになりました。
在米中の作品をはじめ、シンプルな表現世界へと展開していく清川泰次の歩みをご覧ください。