宮城県美術館は平成28年で35周年を迎えました。その間、様々な展覧会を開催しながら、美術作品の収集活動も行ってきました。作品の収集は、美術館活動の根幹をなすもので、美術館それぞれの個性がそこに形成されます。ですから、美術館の所蔵作品(コレクション)は、「美術館そのもの」であるということもできるでしょう。
美術作品は、それが生まれた場所や特定の時間を背景に持つという意味で、地域に住む私たちと地続きの存在であるといえます。美術館がその地域に関連した作品を重視し収集に反映してきた理由は、コレクションを通じて私たちが、自分自身を見つめ直すきっかけとすることができるからに他なりません。
この展覧会は、当館の所蔵作品の中から、東北地方の出身もしくはその活動の拠点とする作家の油彩・版画作品を対象に、3つのテーマに沿って紹介します。私たちはそこに、何を再発見できるでしょうか。
第1章では、主として大正から昭和戦前期までの作品によって、近代美術が生成する過程を探ります。第2章では、何人もの優れた作家を輩出した、東北の版画を紹介します。第3章では、様々な特徴を持つ8人の作家を、ある程度まとまった点数の作品によって紹介します。