オーギュスト・ロダン(1840~1917)は、19世紀フランスを代表する、世界的に著名な彫刻家で、日本国内では荻原守衛、高村光太郎をはじめとする彫刻家たちや、志賀直哉、武者小路実篤といった「白樺派」と呼ばれる文学者たちに多大な影響を与えたことが広く知られ、今日まで国内でもロダンの展覧会が幾度も開催されてきました。
しかしながら、従来の展覧会はロダンが唱えた「生命の芸術」や芸術理論に光を当て、その継承という視点で紹介されることがほとんどでした。
けれどもロダンが自身の彫刻表現に取り入れた手法は、上記の内容にとどまらず「不完全の美」「醜の中の美」、さらには複数の異なる立体同士を組み合わせる「アッサンブラージュ」などがあります。
また、ロダンに対する否定や反発を新たな創造の契機とした作家もいます。
ロダンの没後100年を記念して開催する本展では、こうした視点を加えることで近代日本彫刻史におけるロダンの影響を再検証し、「日本人にとってロダンは何者だったのか」を解明しようと試みるものです。彫刻史におけるロダンの存在の大きさを改めて認識できることでしょう。