“助手”は、研究室所属のスタッフとして、授業運営はじめ様々な学務を担っています。教員や学生と密接にかかわりあいながら両者をつなぐ、いわば研究室の要です。同時に、彼らは一人の作家、研究者としての顔を持ち、日々制作や研究に取り組んでいます。本展では、助手49名の研究成果を一堂に展観いたします。
“助手展”では、1975年の第1回展から、出品者である助手自身が企画運営に携わってきました。また、「本学の助手であること」という唯一の出品条件のみが、原則的に、出品者同士、あるいは出品者と展覧会を繋いでいます。これらの特徴は、 “助手展”がテーマ展示でも、審査を経た公募展でもない、極めて捉えづらい展覧会であることを明るみにする一方で、独創的かつ実験的な場になり得ることを示唆しています。時代とともに、助手として作家としての在り方や芸術の有り様が変化、多様化する中で、2010年代の“助手展”が、前向きな試行錯誤の場となっていることはその兆しといえるのではないでしょうか。
本年の“助手展”は、「JOSHUTEN」と表記を改め開催することとなりました。それは、特殊で伝統あるこの展覧会と改めて向き合うことでそれを好機と捉え直し、近年の“助手展”にはない表現を試みる助手たちの誠実な意欲の表れであると同時に、日頃より真摯に制作や研究を続けている助手たちの気持ち新たな一歩を意味しています。なかでも、建築学科研究室助手の入江剛史による会場構成やジャンルを横断したコラボレーションなどがその象徴的な取り組みとして挙げられるでしょう。
昨今の表現活動は、ますます多種多様となり、芸術という一言では捉えきれないほどに広がりをみせています。現代を生きる49名の助手たちが作り上げる「JOSHUTEN」が、新たな表現の萌芽を感じていただく場となりましたら幸いです。