ヒノギャラリーでは11月7日(月)より「中村功 新作展」を開催いたします。
中村功は「絵画たる絵画」を追求し続けている画家のひとりといえるでしょう。70年代、その初期作品はモノクロームでシステマティックなものでした。しかし、そのようにある秩序のもとで構築された画面は、次第に解放の声を上げます。それは描くという行為の中で、作家が受け止めた絵画側からの要求でもありました。その声に耳を傾け、80年代後半、今では中村作品の核を成す《意勢》シリーズが誕生します。
《意勢》とは作家による造語で、文字通り「意識」の「勢い」を意味します。ここでいう「意識」とは、主観に基づく思惑や構想を超えた、その先にある予期不能な反応、つまり作家の意志とは別のところに存在する意識や感情を指します。画面に意図せず表出する形態や色彩はその発露で、それらが次々と連鎖反応を起こし、主体が作家から画面の中の事象そのものへと代わるとき、「絵画たる絵画」は成立するのではないか。40年に及ぶ画歴の中で、中村が切り開いた《意勢》という領域は、彼にとっての絵画の在処であり、そこへの飽くなき探求は今も、そしてこれからも継続されることでしょう。
今回の展示では、この《意勢》シリーズより新作を発表いたします。200号の大作を含む見応えのある作品群を是非ご高覧くださいませ。