ギリシア神話において、巨躯を以て知られ、両腕と頭で天球を支える「Atlas」(アトラス)
16世紀ネーデルランドの地理学者Gerardus Mercator(ゲラルドゥル・メルカトル)によって地図帳の表紙に描かれたことから地図を指すこともあるこの言葉は、我々が通常知覚できる枠組を超えた、信仰の対象としての巨大な神や大地を示している。また日本においては、民間信仰や神道の根底にある、大小を問わず、あらゆるものへ神が宿るとされる「依り代」という器や領域としての神体、神域を指す言葉がある。
「A Herald of Atlas」とは「誰にも知られずに、ひそかにアトラスの到来を告げる者」の意であり、信仰という形で"我々を支えてきたもの"を世界規模から、身近な事象まで"アトラスの依り代"としての視点からとらえ、技術発達の行き着く先、失われてゆく文化風習などをモチーフにやがて到来するであろう新たな技術やエネルギー、文化に対して、それを受け入れることのできる”依り代”であり"使者"になりうるものは何であるか。それは果たしてこれまで我々を支えてきたものと同じく信仰すべきものなのかを問う。