日本の近代が幕を開けた激動の明治時代は、国全体が大きく変貌を遂げた時代であり、ここから昭和にいたる近代は、美術史的にも大きな変動が見られ、多くの優れた作家たちが革新的な創作活動を行いました。現代の美術動向に繋がる重要な時代ですが、教科書などにおいても、美術史を含む文化史の記述は少なく、作家の紹介としても充分とは言えないでしょう。
このたび多くのご所蔵先のご協力のもと、絵画、彫刻、工芸、それぞれの分野において、近代日本の美術史に残る作家たちによる、優れた作品を一堂にそろえました。現代はインターネットの情報があふれていますが、美術作品を知るには実際に作品を見ること、これに勝る方法はありません。「教科書に載るような名品」をご覧いただくことで、個々の作品の魅力とともに、近代という時代の大きな流れを感じ取っていただければ幸いです。