新たな立体表現に意欲的に取り組む北海道在住の中堅作家の紹介を目的に平成25年度よりスタートした個展シリーズの2回目として、野又圭司(1963年函館市生まれ、岩見沢市在住)の個展を開催します。野又は1980年代後半から本格的に創作活動を始め、現在は市街から離れた過疎化の進む村落に暮らしながら、建造物などの模型で構成するインスタレーション作品の発表を続けています。 経済至上主義、格差社会、インターネットによるコミュニケーションの変容といった社会状況を見つめ、その歪みを世界の似姿としての造形によって提示する作風は、現代社会への鋭い批評として注目を集めてきました。本展は、船を象った全長5mの最新作《脱出》を含む大型作品7点を中心に構成します。野又の作品を通して、鑑賞者は自らの生きる時代や社会についての思考を促されることとなるでしょう。