この度、サンリツ服部美術館ではやきものの「色」に焦点を当てた展覧会を開催いたします。
青や赤、緑、黄などさまざまな色で人々の目を楽しませてきたやきもの。やきものの色は、金属や鉱物を含む釉薬や顔料、焼成によって生み出されます。低温で焼成した三彩の明るい緑色に対し、高温で焼成した織部の味わいのある濃い緑色というように、ひと口に緑色といっても製作方法が異なると色合いも異なるため、やきものの色からは当時の製作過程を知ることができます。また、やきものの色はその時代や地域、交易の様子を現代に伝えてくれます。中国・定窯の白磁は、その地域で採掘された石炭を燃料として焼成したため、象牙のような色合いが特徴です。中国・元時代に登場する青花は、イスラム圏からもたらされたコバルトが使用され、滑らかな白い肌に藍色が映える美しいやきものとして世界各国で愛されました。このように、やきものの色からは当時の人々の生き生きとした様子を窺うことができるのです。
本展では、清楚な発色が美しい青磁や色鮮やかな五彩、落着きのある枇杷色の黄瀬戸などの作品を通して、色に秘められたやきものの歴史に迫ります。豊かな文化の中で育まれたやきものの色彩をお楽しみいただけましたら幸いです。