今回の展覧会のタイトルからも見られるように、出店の作品からは何時も別次元の世界を垣間見るような不思議な錯覚を覚えてきます。
荒廃とした大地に、どこかで見たような、しかしどこにもない世界が無限に広がっていきます。
そしていつも子供が、動物が、生きたものをたちが何かを象徴するように片隅に、時には中央に配置されています。
カサカサに乾くひび割れた大地。大地とも呼べないものの上に立つ、多様なモノ達は悲しみに満ちています。
が、悲しみは、行き着く彼方には、悲しみも喜びも、超えたものであることを我々に示しています。
「宙と地の間」というタイトルをつけた出店のコンセプトには無限の意味が込められていると思います。
写真を撮り、切り貼り、配置、構成するのを、出店はこのデジタル時代に全部手張りして、また写真に撮ります。
その上から手彩色で色をつけるという気の遠くなるような手間をかけた技法を使っています。それはこの作品の悲しみ、また、喜びをさらに強度ある作品に仕上げていく出店久夫の手法であります。
3号から40号を、12~3点の作品を発表する予定です。