地域の芸術文化史を見直し、多くの人々に知っていただくことを目的として、郷土ゆかりの企画展覧会「庄内の美術家たち12 菅原梅里」を開催します。
明治から昭和へと至る激動の時代、美術の世界でも大きな変革を迎えることとなりました。その時代状況のなかで日本画の世界で生きた庄内出身の画家たちを前回まで取り上げてきましたが、第12回となる本展でも、引き続き同じ時期に活躍した菅原梅里という日本画家を取り上げます。
菅原梅里は明治7(1874)年に現在の酒田市新堀にあたる田川郡木川村に生まれました。名を平助といい、成人して鉄道員をつとめたのち、画業を志して山形県米沢出身の下條桂谷(正雄)に師事しました。南北合派といわれる画風の水墨山水を習得し、日本美術協会展の委員もつとめましたが、その後酒田にもどり山椒小路に住んで絵を描いて暮らしました。郷里の人々に愛された菅原梅里の作品は、山水のみならず、大和絵風の人物画のほか、仏画にも良作が多く、現在も庄内各地で散見されます。
本展では、酒田市にある本間美術館が所蔵するコレクションを中心に、菅原梅里が遺した屏風や掛軸など、約30点を展覧し、歳月に埋もれがちな郷土の作家に再び光を当て、その画業を再考します。