画家はなぜ、女性像を描き続けるのでしょうか。古くは女神として、美しい存在として、そして身近な愛すべきものとして描かれた女性たち。女性像は、太古から世界中の画家が描き続けてきた永遠のテーマなのかもしれません。
日本では明治時代以降、西洋美術との出会いによって、絵画における人体像は大きく変わりました。対象を科学的にとらえ、陰影法などの立体表現を学んだのです。そして理想的身体像であるヌードを知り、その美術的意義(必要性)などの西洋の近代的美術概念をも受容したのです。特に人体像の変化が如実にあらわれたのは、女性を描いた絵画であり、日本画、洋画ともに女性をモティーフとする作品が多く描かれ、様々な女性表現が生まれました。
本展では所蔵品の中から「女性を描いた絵画」に焦点を当て、日本画と洋画の女性表現の多様性や、女性の生涯の様々な姿を集めました。それら描かれた女性像から浮かび上がってくる多様性を受けとめ、作品の描かれた背景に思いをめぐらせていただければ幸いです。