あかり―デザインされた日本の光…………
◎ 日本には、電気の普及以前から、独自のあかり(照明)文化が育まれてきました。それらは光と闇に対する独特な感性を生み出し、日本の様々な文化と密接に結びついてきました。
◎ しかし、明治になるとランプ、ガス、電灯といった西洋技術が輸入され、戦後は近代化がより急速に進んだこともあり、自然由来の油やロウを用いた日本のあかりも大きな変化を余儀なくされてきました。特に高度経済成長期を迎えた都市のあかりは、従来とは比べ物にならないほど明るく華やかになり、日本人のあかり感覚を一変させたかのように思われます。さらに現在もLED、有機ELといった固体照明への光源シフトが起こっており、日本のあかりは今なお大転換期の只中にいるといえます。
◎ とはいえ、日本のあかり文化は、西洋の照明技術を完全に受け入れて西洋化したわけでも、日本特有の光に対する文化や感性を失ってしまったわけでもありません。時代や社会情勢によって形、素材などが変化しても、そこには日本の「あかりDNA」が生き続けているのです。
◎ 本展では、当館が所有する一〇〇〇点以上に及ぶあかりコレクョンを用いて日本のあかり文化の全体像を俯瞰し、これまでに築きあげられてきた日本の光とそのデザインのエッセンスを掴みだしていきます。