洋画は、デュフィの3つのテーマ“海”“音楽”“競馬”より“音楽”シリーズを中心に展示致します。彼は、スペインの偉大なチェリスト、パブロ・カザルスとの交流によって1942年頃から“音楽”をテーマとした作品を多く描きました。
生涯に亘り“音楽”をこよなく愛したデュフィの「オーケストラ」「オーケストラのティンパニー奏者」「コンサート」は、まさに今回の『冬のコンチェルト』に相応しく、奏者の動きや演奏の様子が見事に浮かび上がっているリズミカルな作品です。
また、音楽家の中でも、特にモーツァルトを深く敬愛していたデュフィが彼に捧げた作品「モーツァルトに捧ぐ」は、簡略化されたフォルムや数少ない色彩にキュビスム時代の特徴が見られる“音楽”シリーズ中の初期の名品です。
そして、デュフィがこの上なく愛した楽器、ヴァイオリンを美しく色鮮やかに描いた「赤いヴァイオリン」、のびやかな色彩に溢れた晩年の名品「黄色いコンソール」等、デュフィならではの音楽と色彩の素晴らしい競演をご堪能頂きます。
その他、デュフィと同時代の作品として、モジリアニ「ニースの歌姫」、ルドン「花瓶の花」等、ドガ「踊り子習作」は久々の出展となります。さらに、パリオペラ座の天井画の下絵ともなったシャガールの「オペラ座」は美しく鮮やかな色彩に満ち溢れる作品です。
日本画は、鮮やかに色づく南天を描いた杉山寧「南天図」、早朝の京都東山を墨一色で描いた大観「暁之山」、その他に安田靫彦「紅椿」等々、冬の香り漂う名品を揃えて展示致します。また、雄大な構図で青が印象的な平山郁夫「カラコルム峠」も展示致します。
工芸は、古九谷飾皿「照る日」「曇る日」を対にてご鑑賞ください。大胆な文様、緑を主に黄の鮮やかな古九谷独特の色調、相対する自然表現の妙、そのモダンな新鮮さは正に古九谷の魅力を発揮した優品です。
冬の華やぎや静寂を感じさせる名品の数々を、凛とした空気漂う鎌倉にてお楽しみ下さい。