高本敦基は金沢美術工芸大学で絵画を学んだ後フランスに渡り、Nancy国立美術大学大学院で現代美術を修めました。
2009年からは岡山県真庭市勝山に拠点を移し、展覧会の企画・運営をしながら自身の制作を続けています。
高本は、「社会と人間存在の繋がり」を見いだしていこうとする創作理念に基づいて、石鹸、洗濯バサミ、モールといった日常的に身近に使用されている一見“作品にならないモノ”に着目し、そのモノが持つ“潜在能力”を引き出し、独自の空間に変容、転化させていく意欲的なインスタレーション作品を発表しています。特に2011年から始めた大量の白い洗濯バサミを使用した塔の作品は神聖で神々しいまでの存在感を示しており、「第17回岡本太郎現代芸術賞」では<特別賞>を受賞するなど近年目覚ましく活躍の幅を広げています。
本展では色彩豊かな数万個の洗濯バサミを活用し、空間に直立して伸びる「The Fall」シリーズを中心に絵画等の近作を併せ展示します。公立美術館では初個展となる高本の創造性溢れる作品は、観る者の感性に心地よい揺さぶりを与えてくれるでしょう。