昭和初期から昭和61年に亡くなるまで、様々な人間を、とりわけ裸婦を描き多くの名作を残した「画家原精一」の回顧展を開催します。
湘南ゆかりの作家である原精一は、明治41年(1908)一遍上人の開基で知られる藤沢の遊行寺境内にある時宗・真浄院の長男として生まれ、藤沢中学校在学中15才のとき萬鉄五郎に師事し、鳥海青児等と親交を深めてゆきます。昭和2年、会期中の萬の亡くなった第5回春陽会に入選して以来、昭和17年第20回まで出品を続けました。その間、たびたび応召し戦時下で寸暇を惜しんで描いた、数多くのデッサンは、画家としての執念を感じさせるに余りあります。度重なる召集でビルマ・インパール作戦にも従軍、奇跡的に助かり抑留生活後復員しました。戦後派国画会に出品し、特に裸婦を中心とした人物がに優れた作品を数多く残し、生き生きとした人間表現を追及しました。
本展覧会は、没後アトリエに残された膨大な作品や資料などがご遺族から当館に寄贈され、それらを中心に、激動の昭和時代を生き抜いた一人の画家の、全生涯にわたる主要作品を展観し、生きる、そして描き続けることの意味を考え、日本を代表する人間表現を求めつづけた画家、原精一の画業を回顧するものです。