江戸時代に庶民の芸術として誕生した浮世絵は、今日でも人気の高い芸術作品です。なかでも歌川広重は代表的な絵師として広く知られています。
代表作《東海道五十三次》は、広重の名を不動のものにしました。とりわけ保永堂版は、東海道を数多く描いた広重の作品の中でも最高傑作とされ、彫や摺の繊細な様子がわかる初摺は特に貴重です。今回は貴重な初摺を、後摺、変わり図と比べながらご覧いただけるまたとない機会です
広重は雨や風など、気象変化をたくみにとり入れ、四季ある日本の気候風土をみごとに表現しました。また、《東海道五十三次》では旧跡や名所だけでなく、旅中の人達のひきこもごもをも描き、浮世絵を見た当時の人々を旅の気分へいざなったことでしょう。
今年は生誕二百二十年。広重の風景を《東海道五十三次》、《名所江戸百景》などからご覧いただきます。また特別出品として、《六十余州名所図会》から信濃など、十図を厳選してご紹介いたします。