大阪市立東洋陶磁美術館開館20周年と読売新聞大阪発刊50周年を記念して、韓国文化の真髄である朝鮮時代のやきものを広く紹介する特別展「心のやきもの 李朝-朝鮮時代の陶磁-」を開催します。
日本では「李朝」と称されることが多い朝鮮時代[1392-1910]の陶磁は、500年余りにわたる歴史のなかから生まれた個性豊かなもので、中国陶磁や前代の高麗陶磁の影響を受けながらも独自の発展を遂げました。
朝鮮時代の前期に主流となったのが粉青(日本では三島とよばれる)であり、また、全期を通じて主流を占めたのが白磁です。「白」にこだわりながら多様な展開をみせ、粉青では白化粧の上からの装飾、白磁においては青花、鉄砂、辰砂などの装飾技法が生まれました。それらの作品からは、外見的な整斉や華美を求めず、内面的なものを重視する造形志向が強く感じられます。朝鮮時代の政治、倫理理念となっていた儒教の精神風土が陶磁器にも影響を与え、「心のやきもの」とも言える独特の造形を作り上げました。
本展では、当選時代の陶磁の最高傑作として名高い「青花辰砂蓮花文壺」や、戦後初公開となる「青花草花文面取壺」をはじめ、国内外の名品約120点を紹介します。「日韓国民交流年」にもあたる本年、人々の心に響く朝鮮時代のやきものの精髄を存分にご堪能いただけるこの展観は、韓国に対する理解を一層深める好機ともなることでしょう。