自宅の周りを散歩するようになって、繰り返される自然の営みが少しは分かるようになってきました。しかし、私の日常空間を離れたところでは、「西洋近代の価値」は「暴力」に踏みにじられているかのような惨状を呈しています。現代世界がポストモダンと形容されて久しいのですが、岡本祐一朗は、9.11以降をポストモダンの第二段階と捉え、「差異」から「管理」のポストモダンへの移行と呼んでいます。しかも「自由」が「管理」を要請する複雑で不可視な世界で、理解しづらいとも述べています。私は現代を、抽象的な情報社会(抽象空間)と眼で感得できる日常(トロンプ・ルイユ)の二つの世界に生きることを強いられた不安の時代だと感じています。
中島愼一
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