現代の食卓を飾るうつわにもしばしば描かれている唐草 (からくさ) 文様。古くは中東を起源とし、ナツメヤシやハスなどの植物文様が原形と言います。中国・朝鮮半島を経て日本へ伝来して以降、仏教装飾はもちろん、様々な工芸品にあらわされてきました。17世紀初頭に誕生した伊万里焼では初期から皿縁に装飾文様として用いるほか、主文様としてうつわ全体にあらわした作例もみられ、その意匠は花唐草・蛸 (たこ) 唐草・みじん唐草へと展開していきました。
また、唐草は単なる装飾としての役割だけでなく、連続して繋がる様に“子孫繁栄”や“長寿”などのイメージが重なり、それ自体に吉祥の意味が付与されました。“永遠に続く幸福”を願う人々の思いを背景に、18世紀以降、伊万里焼の定番の文様として庶民の間にも広く受け入れられていきました。
今展では、17世紀初頭から19世紀前半にかけて製造された唐草文様の伊万里焼を約70点展示。江戸時代より人々の暮らしの中で愛されてきた古伊万里唐草の魅力に迫ります。