日本美術の流れを振り返ると、そのなかに女性を対象に描いたものが数多くあることに気がつきます。絵画はモティーフによって主に「風景画」「静物画」「人物画」などに分けられますが、その「人物画」のなかでも特に「美人画」は江戸期の浮世絵の例にあるように、多くの支持を集め、各時代の世相を反映しながら、ひとつの分野として確立してきました。しかし女性に対する理想化を主とする美人画だけでなく、画家のまなざしは、妻や子など身近な存在にも向けられ、近代には確固たる人格を持った個性を描く「女性像」が生き生きと描かれていきます。日常のしぐさや、着ている衣裳など、そこには女性特有の性質や暮らしが見え、色彩豊かに表情が捉えられています。今回はコレクションのなかから女性像、むすめたちの肖像を紹介いたします。 (展示点数 約15点)