岡本太郎は、山陽新幹線開通の岡山駅に壁画《躍進》をつくり、国鉄が民営化された記念として公式メダル《出発》をデザインして新しい時代に挑む鉄道の門出を祝いました。荒野を切り開き、自然に抗いながら鉄路を開拓した時代から、人と文化の交流を通して様々なドラマを生んできた鉄道は、人間文化の誇らかな象徴です。
本展は、機能から生まれる車両造形、街を繋いで広がる鉄道路線、鉄道が織りなす街や自然の風景など、人々を魅了し続ける鉄道を美術の眼を通して味わう試みです。
会場には、鉄道のテイストを作品に取りいれながら遊びの空間を創造する現代アーティストのパラモデル、市川平、原倫太郎、角文平、栗山貴嗣と岡本太郎のコラボレーションによる巨大ジオラマを展示します。また、鉄道絵画として、歌川広重の浮世絵から長谷川利行、中村宏、福島尚、山口晃など時代を超えて描かれた鉄道の姿を、また、資料・映像として、今は懐かしい鉄道ポスター、時刻表、鉄道車両模型、トレインマークを展示します。その中でも、日本全国を駆け巡る列車の勇姿を映し出す佐々倉実の映像は鉄道ファンには見逃せない見所の一つです。更に夏休みに開催する展覧会として、ミニSL乗車体験やワークショップなど遊びを通じて鉄道を楽しむイベントを開催します。多くの人々と鉄道の魅力を共有し、子どもも大人も一緒になって楽しんでいただける本展を、是非ご覧下さい。