今年の1月から6月にかけて、九州国立博物館と東京国立博物館(表慶館)で、巡回開催される特別展「黄金のアフガニスタン―守りぬかれたシルクロードの秘宝―」では、アフガニスタン国立博物館に秘蔵されていた、美しい古代の黄金製品が紹介され、大きな話題となっています。同展では、平山郁夫が提唱し、日本で「文化財難民」として保護された「アフガニスタン流出文化財」(全102件のうち15件)も特別出品され、これを機に「流出文化財」がアフガニスタン政府に返還されることが決まっています。
これまで平山郁夫の遺志を継ぎ、「流出文化財」を一部保管してきた平山郁夫シルクロード美術館(山梨県北杜市)でもこれにあわせ、アフガニスタンにおける平山郁夫の軌跡をたどる緊急企画を開催することとなりました。平山郁夫が1968年にはじめてアフガニスタンを訪問したときの貴重なスケッチ記録や、バーミヤンの大石仏が破壊された直後に描いた《バーミヤン大石仏を偲ぶ》(2001年)、荒廃した同地を再訪したときの記録映像などともに、アフガニスタンの復興と文化財保護を訴えた画家の足跡をたどります。