平成4年9月、鹿沼市立川上澄生美術館が開館したのに伴い、その目的の一つである「木のまち鹿沼の文化的イメージを全国に広める」ために、現代に生きる最高水準の木版画作家を発掘する権威あるコンペとして、鹿沼市立川上澄生美術館木版画大賞は発足しました。準備に一年余をかけ、平成6年度に立ち上げたこの大賞は、その後順調に実績を重ね、開館10年目の今年度に第9回の大賞を選ぶことになりました。大正から昭和に移る時期、川上澄生が投じの版画界に新風を吹き込んだ創作版画の運動に参加し、最先端の作品を次々と発表し、その個性を確立していった故事に因み、現代の最先端の作品を発掘し、作家を顕彰するというコンセプトで発表したこの大賞は、常にその在り方を検証しつつ歩んでまいりました。開館10年を機会に、この大賞の意義を再認識するためこの展覧会を開催いたします。木版画大賞及び準大賞として当美術館に蒐集されたすべての作品により、今の時点における木版画の横断面を開示し、来館者の皆さんに「いま木版画に何が出来るか」を見極めていただきます。