G7倉敷教育大臣会合の応援事業・美術館ルネサンス事業として, 倉敷市立美術館・自然史博物館・市立図書館・倉敷科学センター・倉敷埋蔵文化財センターの5つの生涯学習施設が, 「過去・現在・未来」をテーマに展覧会を開催します。美術館エントランスホールではティラノサウルスの全身骨格標本(「クラムちゃん」)が皆さんをお出迎えし, 2階の展示室では各施設がそれぞれの視点でとらえた「過去」「現在」「未来」を一堂に展示します。会期中, 子どもたちを対象とするワークショップなどを通して, 過去から現在へ, そして未来へ続く時の流れを, 楽しみながら学び体験することができます。
倉敷市立美術館のコーナーでは、「岡崎和郎×柴川敏之 | 未来の化石・化石の未来」展を開催します。本展では、美術家の岡崎和郎と柴川敏之の作品をコラボレーション展示します。
岡崎和郎(1930~)は、1960年代に読売アンデパンダン展の出品を経て、制作理念となる概念「御物補遺(ぎょぶつほい)」を構想。日常の物の形を反転させたり変形させたりして、従来見落とされてきた何物かを補足するようなオブジェを制作し、物と空間に対する新しい見方を示しました。柴川敏之(1966~)は、2000年前に火山の噴火によって姿を消したイタリアのポンペイ遺跡や、広島県福山市の草戸千軒町遺跡に触発され、「2000年後から見た現代社会」をテーマに制作活動を続けています。柴川の制作方法は、日常の物をキャンバスとし、絵画技法によって「2000年後の化石(出土品)」をイメージした作品を作ります。
このように2人は、日常の物をモチーフにしながらも、全く異なるアプローチで制作を続けています。岡崎は「HISASHI」で人工と自然の双方を合わせ持つ全体を暗示しようとしました。制作のベクトルは常に未来を志向しています。柴川は未来の視点にたって化石となった現代の「モノ」を見つめ、現代社会のあり方を問うています。このたびは2人の作品を「未来の化石・化石の未来」をテーマでコラボレーション展示することで、それぞれの表現する「未来」の独自性と表現の深さと広がりを楽しんでいただけたら幸いです。