山種美術館は、近代・現代日本画専門の美術館として知られていますが、実は江戸時代の絵画も所蔵しています。当館のコレクションは、個性豊かな芸術家たちが登場し、新たな潮流が生み出された江戸絵画の歴史を概観することができ、小規模ながらも、重要文化財2件、重要美術品3件を含む、質の高い作品がそろっています。とりわけ、当館創立者・山﨑種二 (やまざき たねじ) が、小僧時代に酒井抱一 (さかい ほういつ) の絵を見たことをきっかけとして、のちに美術品の蒐集を行うようになったことから、琳派 (りんぱ) の作品が充実している点が特筆されます。
開館50周年記念特別展の第3弾である本展では、琳派の俵屋宗達 (たわらや そうたつ) や抱一から、浮世絵の祖とうたわれる岩佐又兵衛 (いわさ またべえ)、文人画の池大雅 (いけの たいが)、奇想の画家として名高い伊藤若冲 (いとう じゃくちゅう)、狩野派や円山四条派、復古やまと絵にいたるまで、諸派の優品の数々をご紹介します。また、50周年にちなみ、横山大観 (よこやま たいかん)、川合玉堂 (かわい ぎょくどう) ら、当館と縁の深い近代の日本画家の作品も特別に展示します。