花を愛で、鳥の声に耳を傾け、自然の風物に親しむ―。花鳥風月とは、天地自然の美しい景色をさし、またそれを味わう風雅な遊びをいいます。古来、詩歌や管弦、美術工芸などにおける主題として尊重され、四季折々の自然に心を通わせる日本的な美意識を育んできました。
平安時代のやまと絵から続く日本画の世界にも、この古典的な画題は受け継がれ、新たな感性や技法によって、現代的な花鳥風月の世界が創り出されています。
日本画の専門美術館として2006年に福山県郡山市、2012年に東京都目黒区にオープンした郷さくら美術館は、第一線で活躍する昭和生まれの画家を中心に700点を超える作品を収蔵しています。その中から、「現代の花鳥風月」をテーマに、桜をはじめとする花木画、鳥や動物たち、そして四季折々の風景など57点を選りすぐってご紹介します。