このたび広島県にあります王舍城美術寶物館の御厚意により、「王舍城美術寶物館所蔵 ヨーロッパで新境地をひらいた日本画の巨匠 竹内栖鳳」展を開催するはこびとなりました。
王舎城美術寶物館は宗教法人平等大彗会により設立された美術館です。今回は美術寶物館改修工事の休館期間にあわせて、同館が所蔵する、他に類を見ない貴重な作品と資料を同館以外の施設で初めて公開するものです。
日本画の巨匠・竹内栖鳳は元治元年(1864)京都に生まれました。幸野楳嶺に学び、円山四条派などの伝統的技法を学ぶ一方で、ヨーロッパの合理主義や画法を積極的に取り入れ独自の画風を確立、官展を中心に次々と代表作を発表しました。また私塾・竹杖会で学んだ上村松園らの数多くの門人たち、また国画創作協会の創立会員など、近代日本画壇に一時代を築いた人々を育成して、昭和12年(1937)74歳の時横山大観とともに第1回の文化勲章を受章しました。
今回の展覧会では、竹内栖鳳がイタリア・古代ローマの廃墟を描き、ほぼ100年目の公開展示となる傑作をはじめとして、弟子たち(西村五雲、土田麦僊、小野竹喬、池田遙邨ほか)の作品と素描約50点、貴重な絵葉書や写真資料、当時街角を飾ったであろうパリ万博などの宣伝ポスター、加えて日本の浮世絵に影響を与えた蘇州版画約30点も展示いたします。
竹内栖鳳とその弟子たちの偉業を振り返ることは、現代日本画を今一度見直す上で大きな意味があると思います。また、蘇州版画についても、浮世絵や秋田蘭画を新たな角度から考える上でたいへん貴重な資料になると考えています。