2011年の東日本大震災では陸前高田市立博物館、石巻文化センターなど多数のミュージアム施設が被災して、貴重な文化財をはじめとして多くの文化資源、美術資料が損傷しました。しかしその直後から支援の手が全国から差し伸べられ、資金援助や寄附などもあり、復興活動が始まりました。
美術資料に関しては全国美術館会議がいちはやく東日本大震災復興対策委員会を立ち上げて、岩手県、宮城県、福島県の県立美術館などと連携しながら作品の救出、修復、復元などの事業を計画的、継続的に実施してきました。
2016年を迎えてもその作業は終わりませんが、それらの経過を報告する企画展が東京の東北地方への玄関口ともいえる上野で開催されます。被災状況、救出活動などを臨場感あふれる写真で紹介し、修復された作品の一部を展示するとともに、この機会に東北地方ゆかりの近現代作家の秀逸な作品を一堂に展示いたします。文化財保護を考える一方で東北地方の豊かな美術文化の土壌を体感できる貴重な機会となります。