江戸時代以前の日本の絵画では、その主題や背景にしばしば文学にまつわるイメージをみつけることができます。和歌に漢詩、源氏物語や平家物語など、詠い、語り継がれてきた優れた古典文学は、多くの魅力的な絵画を生み出す源でもありました。
鑑賞者は、絵画に込められた文学の情趣を知ることで、豊かなイメージの世界に分け入り、文字には表われない、行間に隠れたイメージさえも鮮やかに目にすることができました。
こうした絵画と文学が一体となった世界は、残念ながら、過去の文学的素養とは隔たりがちな現代の日常生活からは、次第に見えづらくなった世界でもありますが、本展では文人画、大和絵、狩野派、浮世絵など多彩なジャンルの絵画で、文学と絵画のコラボレーションによる、豊かなイメージの世界をお楽しみいただきます。