鎌倉時代、臨済宗の僧・栄西(ようさい)らによって伝えられた禅は、日本文化に大きな影響を与えます。特に、禅とともにもたらされた新しい喫茶文化は、禅宗寺院を中心に広まり、桃山時代には侘びを追求する茶の湯へと展開しました。また、禅僧たちによって舶来された書画や陶磁器、漆器等は、室町文化のそれぞれの分野で大きな影響を与えました。
本展では、サンリツ服部美術館のコレクションのなかから、鎌倉時代、日本に来朝した禅僧・兀庵普寧(ごったんふねい)の墨蹟や、中国・元時代の禅宗画家・因陀羅(いんだら)が描いた「寒山拾得図」、室町時代末期の茶人・武野紹鷗(たけのじょうおう)が所持していた「唐物茶入 銘 紹鷗茄子」等をご紹介し、日本に根付いた禅宗文化と茶の湯への発展をたどります。