山脈のように連綿と織り成す日本画の伝統と革新
文明開化を迎えた明治期、西欧から移入された「西洋の絵画」に対して、我が国の伝統的な絵画表現を受け継ぐものとして、「日本画」という言葉が生まれました。時代のうねりの中で日本画家たちは互いに関係し合い、伝統的な技法や独自の美意識を受け継ぎ、あるいは西洋絵画の影響も受けながら常に新しい日本画の創造を模索してきました。太平洋戦争を経て、社会構造や価値観の大きな変革の中で、危機的な状況に晒されながらも新しい日本画の模索は続き、現在に至っても時代に即した新しい表現、次世代へと続く新しい日本画の創造をめざし多彩な挑戦が続けられています。本展では、「戦後日本画の再生」に挑んだ七人の巨山を中心に、戦後の流れを受けて花開いた現在の巨匠たちの「不動の日本画表現」、そして具象の系統に連なる新世代の作家たちの「越境する表現」を通し、戦後から現在まで続く日本画壇の流れを俯瞰(ふかん)するとともに、日本画表現の現在地点を紹介します。伝統と革新が山脈のように連綿と織り成す日本画の系譜。この機会にどうぞご堪能ください。