鶴岡の食文化を推進する事業として特別展覧会「魯山人の宇宙―魂を刳 (えぐ) る美が欲しい―」を開催します。
美食家として知られる北大路魯山人(1883-1959)は、若くして諸芸術への才能を開花させ、自ら書や篆刳、絵画などの道を究めました。芸術に対するその鑑識と情熱から、古美術店を経営し、同時に料理の腕も磨いて、1921(大正10)年に「美食倶楽部」を発足させます。
食にも美を求めた北大路魯山人は、料理を盛るための器にもこだわり、1926(大正15)年、北鎌倉に星岡窯 (せいこうよう) をつくり、様々な技法による陶磁器の制作に没頭しました。美と用を備えた北大路魯山人の陶磁器は、その後、親交があったシドニー・カドーゾによってアメリカで紹介され、海外でも収集されるようになりました。
本展では、そのシドニー・カドーゾの旧蔵品を中心としたカワシマ・コレクションと、かねてより笠間日動美術館が収集してきたコレクションを合わせて、約80作品の陶磁器を展覧します。また、北大路魯山人が自ら設計した茶室「夢境庵」を再現したインスタレーションや絵画とともに作家自身の言葉も紹介し、北大路魯山人が探究した美的世界観を追想します。