この度、伊勢志摩サミット開催を記念し、2006年より神宮を撮り続けた写真家・増浦行仁(1963- )の写真展を開催します。
小学4年生のときにカメラと出会い、その頃から現像までを1人で手掛けていたという早熟の増浦は、わずか18歳で単身渡仏。2年後の1983年には、当時ファッション誌『VOGUE Paris』の写真家であった鬼才ギイ・ブルダン(1928-1991)のアシスタントとなり、最先端の現場で感性を磨きました。その後、彫刻作品に惹かれた増浦は、パリでマイヨールやブールデル、ロダンの作品を被写体に、写真の「ブレ」を生かした技法を獲得します。さらに、イタリアではミケランジェロの彫像を、自然光のみを光源とすることにこだわることで造形の新たな魅力を提示し、海外で高い評価を得ました。
日本での増浦は、歴史的な神社仏閣をはじめ、伝統芸能である「文楽」や「能」など、目には見えない精神性につよい魅力を感じました。中でも第62回神宮式年遷宮にかかわる撮影は、自然光による描写を求め続けた増浦にとって、その集大成といっても過言ではありません。