5年前の東日本大震災で津波によりお亡くなりになられた陸前高田市の故・高橋誠一氏(元・東京こけし友の会会員)は、井上四郎一家のこけし蒐集家でした。高橋氏は、井上一家のこけしの入手日や入手先をこけしの胴底やノートに記し、こけしの写真や一家との交流をアルバムにまとめていました。このアルバムは津波で流されてしまいましたが、もう一組同じものを井上家に残していました。
この度の展覧会は、高橋誠一氏の友人・近松義昭様、真知子様(東京こけし友の会会員)のご協力により実現いたしました。昨年、近松様を通じて井上はるみ工人にこけし展の話をしたところ全面的にご協力いただけるということで、新型こけし作者・故井上義治氏(はるみ氏祖父)の戦前作品など、今まで非公開だったこけしを多数出品いたします。高橋氏の作成したアルバムも、はるみ工人の快諾を得て、展示いたします。
蒐集物というものは、蒐めたその人柄をあらわしていると言われます。一人の熱烈なこけし愛好家の足跡をどうぞご覧ください。