小林秀雄は、1902年東京に生まれました。
フランス象徴派詩人や滋賀直哉の影響下に文学的形成期を送り、東京大学文学部仏文学科卒業後、29年に『改造』の懸賞評論に応じ『様々なる意匠』が2席入選。以後、文学・美術・哲学と文芸評論の可能性を大幅に広げました。67年には文化勲章を受章し、日本近代評論の確立者と言われ、文芸評論を芸術として確立した評論家です。
代表作には『ドフトエフスキーの生活』『近代絵画』『ゴッホの手紙』『本居宣長』『無常という事』『私の人生観』などがあります。
本展は、20世紀の我が国における日本の最高の評論家である小林秀雄の生誕100年を記念誌、80年に及ぶその生涯を編年的にたどるのみならず、彼の眼を通した「知と美」に対する業績を改めて見つめ直します。
こうした文士の回顧展は、従来、著者の原稿や愛蔵品などで構成されることが多かったですが、本展は小林秀雄の評論の対象となった「絵画」や「骨董」などの作品を通して「小林秀雄の眼」、あるいは彼が探求した「美」そのものに主眼を当てようとするものです。本展を通して小林秀雄が感動し、また所有した「美」について、来館者に何かを感じてもらえれば、と思います。