資生堂ギャラリーでは、2016年6月28日(火)から8月21日(日)まで、日本を代表する写真家、石内都の個展「Frida is」を開催します。本展では『Frida by Ishiuchi』、『Frida 愛と痛み』シリーズより31点の作品が展示されます。
2012年、石内はメキシコシティにあるフリーダ・カーロ博物館からの依頼により、メキシコを代表する画家、フリーダ・カーロの遺品を3週間にわたり撮影しました。
フリーダの生家でもある《青い家》と呼ばれる博物館で、彼女の死後50年となる2004年に封印を解かれた遺品には、フリーダが身に着けていたコルセットや衣服、靴、指輪などの装飾品に加え、櫛や化粧品、薬品などが含まれていました。石内はこれらの持ち物を丹念に配置し、35ミリのフィルムカメラを手に、自然光の中で撮影しました。フリーダと対話をするように撮った写真は、波瀾に満ちた人生を送ったヒロインとしてのフリーダではなく、痛みと戦いながらも希望を失わずに生き抜いたひとりの女性の日常をとらえています。石内は「同じ女性として、表現者として、しっかり生きた一人の女性に出会ったということが一番大きかった」と言います。
フリーダのシリーズの作品は2013年11月に「PARIS PHOTO 2013」で初公開され、メキシコの出版社・RMより写真集が発売されました。2015年にはマイケル・ホッペン・ギャラリー(ロンドン)で初の大規模な展示が行われ、日本では石内のメキシコでの撮影過程に密着したドキュメンタリー映画『フリーダ・カーロの遺品 ―石内都、織るように』(監督:小谷忠典)が話題を呼びました。
今回は満を持して日本での初の本格的な発表となります。
石内の女性ならではの独自の視点で、フリーダの生きた証を現在によみがえらせた作品にぜひご期待ください。
なお、同時期に資生堂銀座ビル、SHISEIDO THE GINZA、東京銀座資生堂ビルでも石内の作品を展示いたします。
また本展に合わせて未発表の写真を中心とした写真集『フリーダ 愛と痛み』(岩波書店)と石内の写真とエッセイ集『写真関係』(筑摩書房)が刊行され、ドキュメンタリー映画『フリーダ・カーロの遺品 ―石内都、織るように』が東京と大阪で再上映されます。