この度、東京画廊+BTAPでは吉村益信、篠原有司男、小島信明の作品を展示いたします。
昨年、Walker Art Center (ミネアポリス)で「International Pop」展、Tate Modern (ロンドン)で「World Goes Pop」展が相次いで開催され、これまで欧米の文脈でしか研究がなされていなかったポップアートの定義を解体し、その国際的な広がりに着目する機運が高まっています。日本からは篠原有司男、小島信明らの作品が出品され、日本の60年代の美術が世界的文脈で再評価されています。
吉村、篠原、小島は1960年頃から読売アンデパンダン展を中心にハプニング的作品を発表し始めました。同展を母体にネオ・ダダイズム・オルガナイザーズと呼ばれた前衛集団が結成され、街頭でのパフォーマンスや廃品を使ったオブジェ作品などで、当時の美術界に大きな衝撃を与えました。篠原と吉村はグループの創生メンバーです。
戦争と占領の時代に育った彼らは、欧米の大衆文化や戦後美術を自文化のように吸収しつつ、日本土着の大衆文化を素材として引用し、作品を制作しました。たとえば、ラウシェンバーグの作品を複製した篠原の代表作<イミテーションアート>は、「オリジナル」とされる文化に「複製」を対峙させるというポップアートの戦略を突き詰め、ある種の権威になりつつあったポップに挑戦したものです。それは、戦争による荒廃から国際都市へと急速な変貌を遂げた東京ならではの表現形態であり、日本の戦後前衛美術史において特筆すべき活動と言えるでしょう。
本展では60年代当時の貴重なオリジナル作品を中心に構成する予定です。皆様のご来場を心よりお待ち申し上げます。