大正から昭和戦前にかけて、いわき地域では、数多くの同人詩誌が創刊されました。資料が確認できた詩誌は、30誌110冊におよびます。三野混沌・高瀬勝男・松本純一・片寄耿二・島田春夫・中野勇雄・猪狩満直らが参加したこれらの詩誌や当時の新聞によると、詩人の集まりが定期的に開かれ、詩の講演会や展覧会が開催されていました。三野混沌が、「詩人がうようよと出てきて、平はまるでフランスのどっかの町ででもあるかのやうだ」と、北海道に住む猪狩満直に書き送ったのは昭和2年―。東京では、草野心平・波立一・中野大次郎が詩を書いていました。
大正初期に平に住んだ山村暮鳥が播いた詩の種子が、暮鳥がいわきを去ったあと、花開き、豊かな実りとなって、いわきの詩風土を展開したのです。
本企画展では、いわきに花開いた同人詩誌とそれに参加した詩人たちを紹介します。