現代日本を代表する小説家のひとり、村上春樹は、さまざまなイラストレーターとコラボレーションをしています。本展では、文章とイラストレーション相互の関係に焦点を当て、村上春樹と佐々木 (ささき) マキ(1946-)、大橋歩 (おおはし あゆみ)(1940-)、和田誠 (わだ まこと)(1936-)、安西水丸 (あんざい みずまる)(1942-2014)との作品を取り上げます。小説、エッセイ、翻訳、絵本などさまざまなジャンルでの共作は、絵そのものが語る世界を有しながら、文章と響き合い、ひとつのイメージをつくりあげています。そのさまは、村上作品にしばしば哲学的な命題のように登場する<ドーナッツと穴>の関係に似ているかもしれません。文章と絵、その相乗効果によってあらわれる豊かな世界を紹介します。