富弘美術館は、今年、開館25周年を迎えました。本展はこれを記念しての企画展となります。
「いのちの尊さ・いのちの輝き」を放つ星野富弘の代表作品と未公開の作品を含む120点を展示します。
日々の何気ない生活の中で、通り過ぎてゆく「時」「風景」。ふと立ち止まって、足元の雑草を見ると、美しい色、形をしていることに気づきます。心を研ぎ澄ませてみれば、音であれば、鳥のさえずり、雨音、風の音…。匂いであれば、土の匂い、花の香り…。目にするものであれば、木陰に咲く小さな花、冬に咲く素朴な花…。こうした、自然や生活の中に宿る小さな「いのちの輝き」のいかに多くを見逃してしまっているか、星野富弘の描く詩画を見ていると、私たちは、改めて気付かされます。
2016年4月、星野は70歳の誕生日を迎えました。星野にとって、負傷したことは大変なでき事でした。しかし、「負傷せず、順調に生きていたら、何も気づかず、何もしない自分になっていたかと思うと恐ろしくなる」と言っています (『いのちより大切なもの』より)。負傷してから46年、本格的な創作活動を開始してから40年が過ぎました。自己表現の手段として最も適した詩画という表現形式を見い出し、現在も精力的に創作活動をつづけています。作品は時を経るごとに昇華され、輝きを増しています。ごゆっくりご鑑賞ください。