このたびのコレクション展では、博多が生んだ洋画家・児島善三郎(1893~1962)を特集します。児島は、福岡市中島町(現・博多区中洲中島町)に生まれ、昭和5年に結成された独立美術協会のカリスマ的存在として活躍しました。西洋の模倣ではない「日本的油絵」を創造するべく、日本的な感性に立脚した装飾的表現を自らの絵画の中に取り入れた児島の作風は、独立美術協会の象徴として当時の画壇にも強いインパクトを与えました。博多の町人文化をバックボーンとしているともいえそうな、豪快な筆致と華やかな色彩からなるその作風は、時代を経た今でも全く古めかしさを感じさせず、生き生きとしたエネルギーに満ち溢れています。本展では、当館の児島善三郎コレクションを一挙に展示するとともに、赤星孝や足達襄、青柳暢夫、山田栄二など、「独立王国・福岡」を彩った作家たちの作品を紹介することで、日本的フォーヴィスムと称された独立美術協会の洋画壇における意義と、豊かな表現の魅力に迫ります。
(担当学芸員/高山百合)