絵画は二次元の平面であるとされます。しかし実際のところ、画面の凸凹や絵具と支持体(カンヴァスや木枠)の積み重なった構造を考えると、絵画はかならずしも平坦なわけではなく、きわめて立体的なつくりをしています。今回のコレクション展ではさまざまな凸凹を絵画制作の手掛かりとしている作家の作品をご覧いただきます。
1960-1970年代、絵画や彫刻といった芸術のカテゴリーをふくめ、あらゆる概念が厳しく問い直されるなか、画家たちは身近な手元から、日用品などのチープな素材から、空間や言語の成り立ちからといった、さまざまな角度から絵画の表現を検証するようになります。そのとき彼らは、平面と空間の凸凹の関係をあらためて見つめることで、従来の絵画のあり方を乗り越え、新しい時代のための方法を模索しました。ここでは1970年代以降に主に絵画制作を行っている6人の作家をとりあげ、それぞれの方法を紹介します。
豊田市美術館はひとりの作家の作品を収蔵するにあたって、その作家の展開を追えるように複数点の作品を収蔵することを目指してきました。本展ではその特徴を活かした「一展示室、一作家」の構成で、20世紀後半からの絵画の方法を探ります。