HIKARIからArtistへ 「共鳴体」近藤亜樹の変容
シュウゴアーツウィークエンドギャラリーは4月16日(土)より、近藤亜樹の個展「Artist」を開催します。
近藤亜樹の近年の活動の広がりと深さには目を見張るものがあります。
2014年に着手し2015年2月に披露した、自ら監督を務めた短編映画HIKARIは、東日本大震災に対して近藤本人が抱えていた様々な想いを、映画(14,000余カットの油絵アニメーションと実写の組合せ)という、言葉が大きな役割を担う視覚芸術手法によって鮮やかに提示したもので、あまりにユニークで、すでにひとつの大きな達成といえるものでした。
映画HIKARIの完成後、2015年5月に今度は東京汐留のパークホテルにおいて九日間という驚異的なスピードでルームペインティング「おたふくルーム」を描き上げました。近藤亜樹が二次元的平面のみならず三次元的空間においてもぺインターとしての力をフルに発揮できることを証明し、関係者に衝撃を与えました。
2016年1月には恵比寿リキッドルームにて開催されたサカナクションのオールナイトイヴェント「nf #3」に招かれ、サカナクション山口一郎氏のDJのもとで二時間で150号(230cm長)の大作を一気に描き上げ、そのときの様子は事件として美術以外の関係者にも語り継がれるような鮮烈な印象を与えました。
nfでのライヴペインティングと前後して作風に大きな変化が生まれ、これまでのコントラストの強い明るい色調は影をひそめ、奥行のある闇をたずさえた空間が見られるようになりました。近藤亜樹が今後どのような展開を示すのか目の離せない状況が続いています。ちなみに2016年3月下旬のアートバーゼル香港のシュウゴアーツブースにおいて、変貌を遂げつつある近藤の新作「未来心中」が披露されました。
4月の個展にて29歳の誕生日を迎える近藤亜樹は、これまで出会った様々な人・出来事に呼応して、そのたびに破格の視覚芸術作品を具現化してきたと言えるかもしれません。いまだに未完の大器と呼ぶべき近藤亜樹は、余人には計り知れない大きな「共鳴体」とも言えるでしょう。
4月16日から新作ペインティングの個展に続き、5月28日より昨年秋以降の変貌を示すドローイング群をPart 2として展示します。