粘土に二つ点が並んでいるだけで、顔に見えてしまうことがあります。線を一本引くだけで、広々とした地平線を思うこともできます。点を打ち、線を引くことは、太古の昔から現在に至るまで、幼いこどもたちにも繰り返されてきた、表現というものの原点、「美術のモト」にちがいありません。
本展では、新潟市美術館の所蔵品から、そんなシンプルなしぐさによる作品を集めました。点の繰り返しが心地よいリズムを生み出す李禹煥の絵画。齋藤義重の、電動ドリルによる荒々しい描線、ゆらぐようなライリーの曲線は、絵画という平面を欺くかのよう。庄司達の、布の張力がもたらす美しい曲面。バウハウスで教鞭を執ったアルバースは、単純なかたちから色彩構成を探究しています。
点から線、線から面、二次元から三次元へ―「てん・せん・めん」から生まれた豊かな造形世界をのぞいてみませんか。