戦後間もない1948(昭和23)年、新しい日本絵画の創造を志す東西13名の中堅日本画家によって、在野の日本画公募団体「創造美術」が結成されました。同団体では、日本画壇の沈滞打破への気概にあふれる会員と、自身の表現を存分に発揮し個性的な作風を追い求める新進気鋭の画家たちによって、自由かつ革新的な絵画表現が展開され、戦後の画壇を牽引 (けんいん) する大きな潮流の一つとなりました。その後、創造美術からの流れは「創画会」に受け継がれ、今日に至っています。
創画会に所属する会員は52名 (※平成28年3月現在)に上り、そのうち女性会員は7名を数えます。制作の自由を標榜 (ひょうぼう) する創画会にあって、女性会員たちの作品は、ジャンル・モチーフにおいて様々な広がりを見せていますが、その作品表現の根底には、女性ならではの繊細 (せんさい) な感覚に基づく洗練された美意識が見受けられます。
本展では、創画会に所属する7名の現役女性会員(荒木亨子 (あらき きょうこ)、梶岡百江 (かじおか ももえ)、高畑郁子 (たかはた いくこ)、津田一江 (つだ かずえ)、野畑直子 (のはた なおこ)、松本祐子 (まつもと ゆうこ)、宮 (みや) いつき) の作品を一堂に展示し、現代の女流画家たちが繰り広げる日本画表現の今をご覧いただきます。また、創造美術の創立会員として、生涯を通じて日本画表現の可能性を追求し続けた秋野不矩 (あきの ふく)・広田多津 (ひろた たつ)の作品9点も併せて展示します。
創立会員の両画家によって開拓され、現代の女流画家たちが各々挑み続けてきた日本画革新の軌跡を追うことで、日本画の明日を占っていただく機会となれば幸いです。