1979年1月、日本経済新聞の人気コラム「私の履歴書」で、猪熊弦一郎(1902-93)が自身の半生を綴りました。四国、香川ののどかな土地で育った、絵を描くことが大好きな子どもが、広い世界に飛び出して、様々な人と出会いながら切磋琢磨し、画家としての自己を確立していく過程が、軽快な語り口で書かれています。本展ではこの自伝をもとに、前編、後編の二期にわけて、エピソードにまつわる作品や資料等によって猪熊の生涯と画業をご紹介いたします。前編となる今展では、幼少期から中学、美術学校を経て、30代後半のパリ遊学時代までを展観します。